マラソンに学ぶ
最近はスポーツブームで、みなさんの中にもジョギングなどやっている人もいると思います。マラソンは四二・一九五キロという距離を走るだけのスポーツですが、オリンピックでも最後に行なわれ、オリンピックの花とも呼ばれています。
走るだけとはいえマラソンには人生の縮図ともいえるドラマがあります。テレビの中継を見ていても、レースのかけひき、ランナーの表情が手にとるようにわかるので、おもわず身をのり出し手に汗にぎる場面も多いものです。どんなマラソンコースでも最大のヤマ場といわれるところがあるもので、ボストンマラソンにおける「心臓やぶりの丘」などはもっとも有名なものです。
レースに必勝を期すランナーはこういうところでスパートし、ライバルを引き離すという作戦に出ます。ランナーは四二・一九五キロという長距離を前もって作戦を立てて走り、また、走り出してからも、その日のコンディション、ライバルの走り具合などから臨機応変の作戦をとれなければなりません。
ほんのちょっとしたかけひきに勝つか負けるかで勝負が決まってしまうこともあります。これにはスタミナ、スピード、精神力、克己心などが要求されます。これらは、ふだんの血のにじむような練習が伴わなければ身につくものではありません。人生においても、私たちのふだんの仕事においても同じことがいえます。どんな状況の変化、逆境にも耐えられるだけの実力を身につける努力を怠らないようにしましょう。
センスを磨く
最近では、ヤングにしるビジネスマンにしろ、「センスのよさ」ということがしきりに話題にされるようです。
ファッションのセンスに始まって、話し方のセンス、仕事のセンス、音楽のセンスなど、さまざまなジャンルでセンスのよさが求められています。
事実、若い女性に理想の男性像を問いかけてみると、必ずセンスのよさを条件にあげているほどです。
センスとは、日本語でいうと「感覚」というような意味でしょうが、具体的な形を伴っているものでないだけに、「お前はセンスがない」などと言われても、先天的なものだからしょうがない、とただあきらめるしかないようです。
センスは、確かにおいそれと身につくものではありません。
しかし、そうだからといって悲観するには及びません。
「むずかしい問題は、徐々にしかも長い時間をかけて解決しろ」という言葉がありますが、この方法を実践すればよいのです。
一日でみれば進歩のスピードは遅くても、それが半年に、一年になれば、徐々に成果が出てくるはずです。
「ウサギとカメ」ではありませんが、長い時間かかってもつねに努力を惜しまなければ、いつか勝利はわがものとなります。
センスのある自分をめざして今日から頑張りましょう。
はじめは、人まね、ものまねでもいいのです。
本を読む、新聞の社説を読む、スポーツをするなどして、時代の感覚を吸収し、教養を身につけ、話題を豊かにする努力を続ければ、自ずとセンスも身についてくるでしょう。
注意力、観察力、記憶力を鍛えよう
頭で地図を描きそれを紙にさっと書ける人は普段から注意力、観察力、記憶力の訓練をしている人だと言われます。
ただポャッと通りすぎて周りの情景が記憶に残っていないとか地下鉄を何度利用しても出口をまちがえるなど、だれでもしばしば経験しますが、あげくに「私は方向オンチ」などと自分を表現する人にいたっては、自分自身の注意力、観察力、記憶力のなさを披露しているようなものです。
効率訪問をめざす優秀なセールスマンなら即座に得意先までの地図やピル内の見取図などを書きあげるでしょう。
科学的販売の原点はここにあります。
一日の効率よい行動、訪問、そしてよりすぐれた成果をめざすならば、普段から注意力、観察力、記憶力の訓練をするよう努力しましょう。
よく電話で、訪問する先の場所を尋ねることがありますが、相手が目印になるピルや交差点の名前を言ってくれても、さっぱりわからない人もいます。
まったくの新人ならともかく、街を歩くときは、よく確かめながら歩くこと。
これは逆の立場からも言えます。
電話を受けて当方の場所を聞かれたら、○○ピルを背にして右手に曲る、とか左手前方に大きな広告が見えます、とか必ず目標になるものを示すことです。
電話ひとつをとっても、相手の立場にたった見方が必要なのです。
今日からその第一歩として会社から得意先、自宅から会社等の地図を正確に書けるように自分自身の訓練を始めてください。
知識よりも決断力、判断力を
熊蜂という胴体の太い、うるさく飛ぶ蜂がいます。
肉眼で見てもあの羽根の動かし方は尋常一様のものではありません。
それもそのはず、現代の航空力学によるとあの蜂は絶対飛べないはずだというのです。
しかし、飛べないはずのものが飛んでいるのですから、人間が考え出す理論や技術には限界があるということです。
もちろんその限界は次々に破られてはいきますが。
常識というものもこれと同じことが言えるよな気がします。
だれもが「これはダメだ」「そんなものはもうはやらないよ」「時機尚早だよ」というものでも市場に出れば、常識などふっとばして好評を得ることがあります。
むしろ、ヒット商品といわれるものは常識を無視したところから生まれているようです。
そして、そのあとから、ヒットの分析がなされてもっともらしい原因が見つけ出されますが、それがその後のヒット商品開発に役に立つということ、もあまりあり、ません。
知識をいくらつめこんでも、それを活用しなければ絵にかいた餅です。
また、きびしいビジネス社会の中で生きていればわかりますが、いざというとき役に立つのは知識や常識ではなく、それをもとにした判断力や決断力であることです。
だから、当事者でない部外者や評論家から理路整然とした批判などを聞けば、腹が立ったりすることもあります。
決断力や判断力は知識はもちろん大切ですが、実のある経験をつみ重ねることによって身につけることができます。
さらにもう一歩、仕事を完全に
自分の役割を果たす。
これは働くものにとって当然のことですが、それだけで終わってしまうのではもの足りなさを感じます。
お客様が見えました。
Aさんはお茶を出しました。
それも失礼のないようにていねいにと、彼女は役割を果たしたのです。
また、B君は今週は自分の仕事場の掃除当番です。
朝早めに出社し、チリ一つないようにきれいに掃除をしました。
彼も役割を果たしています。
もちろん仕事においても自分の役目はみんな果たしているわけです。
ここでいいたいのは、さらにその役目をもう一段拡大しようということです。
お茶汲み、掃除も含めて、今している作業をただこなすだけでなく、さらによりよくする工夫はないか、改善すべき点はないかといった気持を持って行なって欲しいのです。
お客様はそのお茶を本当においしいと思っているか、茶碗はそろっているか、急須の悪さから茶托にお茶がこぼれ茶碗とくっつくようなことがないか。
また掃除においても、このロッカーは右側に寄せた方が作業がやりやすい、ここに紙屑カゴを一つ置いた方がいいのではないか等々、気がつくことがあるはずです。
役割を機能させる。
つまり役目を果たしながらさらに改善提案をするよう心掛けましょう。
どんな小さな仕事でも、もう一工夫できる余地はないか。
今までただ漫然とやってきたことに改善すべき点はないか。
今日はそういった新しい視点で自分の仕事を見つめ直してください。
商品はお金より大切なもの
水戸黄門が諸国漫遊の途中、ある農家の軒先で米俵の上に坐って休んでいるとき、そこのお婆さんに棒でなぐられたという話があります。
米は農家の人たちにとってはお金などよりずつと大切なものなのです。
商品はお金にまさる大切なものです。
千円の現金は千円ですが、千円で仕入れた商品は千三百円、あるときは千五百円にもなって利益を生み出します。
その現金以上の価値ある商品の扱い方が乱暴では困ります。
腰をかけたり、下に置きっぱなしにしたり、投げたり、落としたりしたのでは商品価値を失わせているのと同じです。
お金をやぶいたり、捨てたりする人はいないと思います。
また商品はお客様からの大事なあずかりものです。
仕入れておくということはお客様の必需品や夢を実現されるための品物を、お客様に代わって私たちが用意しておくことなのです。
したがって販売までの期間、大事に扱い、あずかりものとして、鮮度を落とさないように努めなければなりません。
農家の人たちが米を大切にするのと同じです。
私たちも物を買う場合に包装がよごれているだけでも不愉快な感じがしてきれいなのを選んでいるではありませんか。
ある百貨店では店に出る前に必ず手を洗うことが義務づけられています。
お客様に対するエチケットであると同時に、私たちの会社、生活を保証してくれる商品に対するエチケットなのです。
商品は現金と同じように財産であることを再認識いたしましょう。
仕事の標準化、マニュアル化について
A君とB君に共通のある仕事を頼んだら、A君は2日間で仕上げてくれたし、B君は3日間かかりました。
A君もB君も完成まで他の仕事はしないでこれに専念したそうです。
そして結果はまったく同じできばえでした。
この二人の力量に差があるとは思えません。
両君にきいてみると、それぞれこのやり方が一番よいと判断し、実行したといいます。
つまり、計画がちがい、進め方がちがったわけです。
いうまでもなく結果が同じなら、早く仕上げる方法で進行するのが仕事のやり方です。
スピード化は経費節減はもとより、さまざまなプラスを産みます。
このような例は職場に多くあると思います。
一定したやり方、すすめ方がないために個人個人の裁量で仕事をすすめ、そして個々人がそれぞれ悩んでいるといった状態です。
そこで統一を図るために、標準化をとなえ、マニュアル作成を切望する人が多くなるのですが、本当にそれらがあればうまくいくのでしょうか。
ある会社の調査では技術の標準化がなされたときはその技術は過去のものとなり、新技法の改善は日毎になされ、新技法にそって改正すればさらに進歩するという具合で標準化活用の実があがらないという結果が出たそうです。
またマニュアルは約半数以上が活用されていないし、ただ置いてある状況だったそうです。
標準化、マニュアル作成以前にもっと職場のメンバーと仕事のすすめ方について交流、コミュニケーションをはかり、よりよい方法の共有化、一般化をすすめるのが先決です。
書類の書き方
今朝は書類の書き方についてお話ししてみたいと思います。
当社規定に基づいて、いろいろな書票類があります。
営業日報、売上げ伝票等もろもろです。
こうした毎日毎日の書類への細かい記入はみなさんにとっては難作業かもしれません。
多くの時間を費やして、あるときは何のために書くのか疑問さえ感じるときもあるでしょう。
確かにめんどうくさい作業かもしれませんが、仕事の上でまちがいのないようお互いの確認のために、報告のために、あるいはお客様の管理のためや仕事の責任の所在を明らかにするためにも必要なことなのです。
いずれにしても企業には欠かすことのできない約束事です。
したがっていい加減な記入はみんなに迷惑をかけます。
書くべきところに記入しなかったり、わかりにくい文字や間違い記入は困ります。
トラブルがあったりしたときにそういった書類があるとますます問題がこじれてしまいます。
もう一つ書類の意義として後任者に仕事を伝えるためという目的もあります。
異動があろうとも仕事がとどこおらないためです。
「たつ鳥あとをにごさず」のことわざのょうに自分の留守中や異動で部署がかわっても後の人に迷惑をおよぼさないように、また関連の仕事をする人たちがまごつかないようにしておくことです。
書類は自分のためのものではなく、会社全体のためのものです。
もう一度、毎日の記入時には、こうした意義に留意してください。
相手の気持にそった言葉づかいを
ある食堂で田舎から出て来たおばあさんが店員さんに「ご飯は少なくしてくださいね」と言うとその店員さんは即座に「半ライスですね」と答えたのでおばあさんはキョトンとした顔をしていました。
住宅セールスマンがお客さんに「そこは遠いね」と言われて「わずか80分です」と答えているのを聞いたことがあります。
なにか言葉のやりとりがちぐはぐです。
お互いの意志疎通を考えるならば、こうした言葉づかいの基本を正さないといけません。
相手の表現、相手の気持にそった応答ができれば二人の関係は一歩でも二歩でも近づいてい
くのです。
受付は企業の顔
受付は企業の顔とはよくいわれることです。
私たちも取引先の会社を訪問して、受付が感じよいとその会社全体のイメージも好ましいものになります。
受付とは玄関にいる女性だけではありません。
外部からの電話を最初にとる人もそうです。
さらに外部からのお客様に接する人たちにも受付の人と同じ心がまえが必要です。
たった一人の応対、電話の受け答えがお客様の企業イメージを決定するのです。
勘の鋭い人ならば、受付嬢の受け答えひとつでその会社の信用度までわかるという人もいるほどです。
明るさ、ハキハキした返事、親切心を忘れないようにしてください。